情報広場

※ブルダウンからカテゴリを選択していただくと、カテゴリを絞って、情報を閲覧することができます。

微生物の話微生物と発酵食品2023-11-30

食品に対し微生物が有益に作用することを「発酵」、有害に作用することを「腐敗」と呼んでいます。古くから様々な微生物を利用し、発酵食品が作られてきました。

発酵食品に使われる微生物
発酵食品に使われる微生物には、みそ、醬油、日本酒などに使われる麴カビ、アルコール発酵に使われる酵母、ヨーグルトや漬物などに使われる乳酸菌、納豆などに使われる納豆菌など様々な微生物が存在し、単独、あるいは組み合わされて利用されています。有用な微生物が優位に繁殖し、悪玉微生物が増殖しないように温度などの発酵条件をコントロールし、発酵させ過ぎないように適度に停止させることが重要です。

発酵食品の作用
発酵食品には、保存性を高める(漬物、干物等)、うまみ成分をつくる(みそ、醤油等)、腸内環境を整える (ヨーグルト等)様々な有用作用があります。これらの効果は単独あるいは、組み合わさってより高い効果が発揮される場合もあります。また、最近は感染症対策としてプラズマ乳酸菌のように、免疫機能増強等の機能性表示食品として認められたものもあります。

発酵食品を上手に使うために
発酵食品には微生物が利用されているため、発酵条件を適度に保つことが重要です。利用する微生物の性質をよく理解し、微生物に合わせた発酵条件を選択する必要があります。また、食品の味付けに味噌、塩麹等の発酵食品を使用する場合、発酵微生物が増殖して味が変化し、短い期間しか賞味期限を設定できない場合があります。発酵食品も殺菌して用いるか、カップ等に小分けする等の対応が必要です。

日本では古くから、各地方で様々な名物の発酵食品が作られ、地方色豊かな食文化に貢献してきました。福岡県でもぬか漬けに用いるぬか床でイワシやサバ等の青魚を数時間煮込んだ“ぬか床炊き”が有名です。ぬか床の“うまみ”が染み込み、青魚の匂いを消し、ぬか床の匂いも煮込むことによって消失しています。レトルトパックになりお手軽に利用できる商品も発売されています。夕食のお供に如何でしょうか。









食品の話輸入食品の安全性と検査2023-09-29

 日本の令和4年度食料自給率はカロリーベースで約40%と低く、食料の安定確保のためには輸入食品に頼らざるを得ない状況です。しかし2008年1月、中国産冷凍食品への農薬混入事案が発生し、輸入食品の安全性は大きく揺らぎました。皆さんも店頭で輸入食品と国産品が並んでいると、値段が高くても国産品に手が伸びてしまうのではないでしょうか。とはいえ、日常生活の中で輸入食品を避けて通ることはかなり困難です。
 では輸入食品の安全対策はどのようになっているのでしょうか?

〕⊇亶饌从
日本の規制にあった生産・製造・加工等の管理、輸出国政府による衛生証明書の発行(食肉、食肉製品、フグ等)、輸出前検査等

⇒入時対策
輸入の都度、厚生労働大臣への届出(義務)
検疫所による届出内容の確認(食品衛生法規格基準等に適合するものであるか)
検査での確認

●命令検査:法違反の可能性が高い食品等について、輸入の都度実施を命じる検査
 →検査結果判明まで輸入不可
●モニタリング検査:必要に応じて輸入時検査を強化する等の対策を講じることを目的として、国が年計画に基づいて実施する検査
 →検査結果の判明を待たずに輸入可能
●指導検査等:農薬や添加物等の使用状況や違反情報を参考に、輸入者の自主的な衛生管理の一環として、国が初回輸入時や定期的な実施を指導する検査等
 →検査結果判明まで輸入不可
野菜、食肉については、植物検疫、動物検疫なども受ける必要があります。
食品衛生法違反と判断された場合は輸出国への積戻しや廃棄等の措置が取られます。

9馥眤从
都道府県等で流通食品等の収去(抜き取り)検査

このように輸入食品の安全は3つの対策で確保されています。
安全の確保された食品ですので、私たち消費者も購入したものは適切な条件で管理し、食品ロスの無いように消費していきましょう。









微生物の話黄色ブドウ球菌食中毒について2023-07-31

 食中毒を防止するためには「しっかりと加熱することが大切!」です。しかし、食中毒の中には、加熱だけでは防げないものも存在します。その1つが黄色ブドウ球菌による食中毒です。今回は黄色ブドウ球菌食中毒を取り上げてみたいと思います。

1.黄色ブドウ球菌とは?
 ブドウ球菌属(約60種)は通常、人や動物の皮膚、鼻腔などに存在しています。黄色ブドウ球菌はその中の1つで、傷口や手荒れ部分、また、約40〜50%の健常な人の鼻腔から分離されるとされています。なお、寒天培地上で培養すると黄色く発育するため「黄色」、顕微鏡で観察するとブドウの房状に見えることから「ブドウ球菌」と名付けられています。黄色ブドウ球菌が食品中で増殖すると「エンテロトキシン」という毒素を産生し、この毒素が食中毒の原因となります。

2.なぜ食材を十分に加熱しても食中毒を防げないのですか?
 黄色ブドウ球菌は、一般的な調理の過程で熱により死滅します。しかし、この細菌の産生する毒素「エンテロトキシン」は、100℃ 30分の加熱でも失活しないことが知られており、食材がエンテロトキシンにより汚染していた場合、通常の調理ではこの毒素による食中毒は防げません。

3.黄色ブドウ球菌食中毒の特徴を教えてください
 食べてから平均約3時間後に発症します。主な症状は、嘔吐・腹痛・下痢など他の細菌性食中毒と同様ですが、症状が現れるまでの時間が極めて短いのが特徴です。また、原因となる食品は多岐にわたり、2000年に起こった本菌による大規模食中毒事例では、原因が加工乳であったため、患者は成人・子供・高齢者など様々で、1万4千人を超える患者が発生しました。

4.黄色ブドウ球菌食中毒を予防するにはどうしたらいいですか?
 食材が一旦エンテロトキシンで汚染されると、取り除くのは極めて困難です。そのため、食材に黄色ブドウ球菌を付着させない(手洗いをしっかり行う、マスク、手袋、帽子などを適切に使用する、手指に傷のある人は調理に従事しない)ことが最も重要です。また、菌が増殖しエンテロトキシンを産生する環境・時間を与えないことも効果的です。食材の温度管理は厳重に行い、調理後はなるべく早めに食べるよう心掛けましょう。









微生物の話腸内細菌検査って何?2023-05-31

排泄された便を検査し、腸管内に食中毒菌(赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌等)やノロウイルスがいないかを調べることができます。

●なぜ必要なの?
 不顕性感染者を見つけることが目的です。不顕性感染者とは、体内に食中毒菌等を保有しているも関わらず自覚症状のない人のことです。症状がないため、気づかぬうちに不顕性感染者の手指を介して、食品を食中毒菌やノロウイルスに汚染させ、提供された食事を食べた人が食中毒を発症してしまう可能性があります。

●「陽性」になったらどうなるの?
 陽性となった菌の分類によって対応が異なります。
サルモネラ属菌(チフス、パラチフス以外)が陽性になった場合、調理業務に携わらず医療機関を受診し、治療を受けます。再度検査をして陰性を確認後、職場復帰となります(※1)。
 赤痢、チフス、パラチフス、腸管出血性大腸菌が陽性になった場合は、調理業務に携わらず自宅待機となります。医療機関を受診し、治療を受けます。赤痢、チフス、パラチフス、腸管出血性大腸菌は3類感染症に指定されているため保健所への届出が必要です。受診した医療機関の医者から保健所へ報告をしますが、本人からも保健所へ連絡し、指示を受けましょう。治療後に再度検査をして陰性を確認後、職場復帰となります(※1)。
食中毒菌は通常数週間かけて自然に排出されますが、まれに腸管内に長期間留まってしまうこともありますので、陽性と確認されたら、医療機関へかかるようにしましょう。
※1: 施設、職場によっては複数回の陰性判定確認後の復帰となる場合もあります。

●定期的に検査する理由は?
 一度検査して「陰性」ならば、安心ということではありません。食事や、日常生活で知らないうちに食中毒菌に感染している可能性が常にあります。そのため定期的な
腸内細菌検査が重要です。
大量調理施設衛生管理マニュアル等国の定めるガイドラインやHACCPに沿った衛生管理で腸内細菌検査が規定されている場合、また、飲食店や食品を扱う事業所の衛生管理においても、腸内細菌検査は重要です。定期的に検査を受けるようにしましょう。

当センターでは定期的な検便検査やノロウイルス検査の相談、質問をお受け致しております。御依頼、御相談等がありましたらお気軽にご連絡ください。









水の話レジオネラ属菌について2023-03-31

 空調用冷却塔水、循環式浴槽、あるいは給湯系の貯湯槽などの施設は、レジオネラ属菌の繁殖に適した環境条件(水の滞留時間が長く有機物がある、粘性物質や生物膜などレジオネラ属菌の繁殖を助ける微生物群集が発生しやすい、暖かい水温等)が整いやすいため、レジオネラ対策・検査をお奨めしております。特に循環式浴槽を使用している公衆浴場、介護施設等については厚生労働省発布「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて」等を参照した上で、管理を行うことを奨めています。

レジオネラ症は重大な事故になりうる感染症です!
レジオネラ属菌は、土壌や水環境にも存在する菌です。しかし、水が循環し、エアロゾルを発生させる人工環境(噴水等の水景施設、ビル屋上に立つ冷却塔、ジャグジー、加湿器等)や循環水を利用した浴場等のある施設が多くなっていることなどが感染する機会を増やしているものと考えられています。
レジオネラ属菌が原因で起こる感染症であるレジオネラ症は、数日で自然に治る場合が多いポンティアック熱と、急激に重症になり、死亡事例もあるレジオネラ肺炎に分けられます。レジオネラ肺炎は、乳幼児や高齢者、疾病などにより抵抗力が低下している人や、手術後等で体力が低下している人などが発病しやすいといわれています。

参照:福岡県保健環境研究所:レジオネラ症
http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~byouri/Legionella/

浴槽等におけるレジオネラ属菌の繁殖を防ぐ方法は?
循環式浴槽あるいは給湯系の貯湯槽などでは、なるべく短期間(風呂などは可能であれば毎日)での換水、浴槽等に付着しやすいバイオフィルム(ぬめり)の除去や配管並びにフィルターなどの定期的な清掃、貯湯槽などはレジオネラ属菌が繁殖できない温度(60℃以上)を維持する、塩素系薬剤による定期的な消毒処理など、適切な管理を行ってこのような環境条件を与えないようにすることがレジオネラ属菌の繁殖を防ぐのに効果的です。
なお、多くの自治体では、公衆浴場や旅館業、介護施設等で貯湯槽を使用する場合やろ過器等を使用して浴槽水を循環させる時は、定期的な清掃や洗浄、消毒を行うように条例等で定めています。また、循環使用する浴槽水の遊離残留塩素濃度の維持並びに定期的なレジオネラ属菌検査を行うことを定めています。

当センターでは公衆浴場や旅館、老人ホームなどの浴槽施設におけるレジオネラ症の蔓延を防止するための浴槽水検査を行っています。
ご相談やご質問等がありましたらお問い合わせ下さい。