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食品の話飲食店でのHACCPの取り組み2021-02-28
HACCPと聞くと「難しい」「面倒くさい」「お金がかかる」と思われがちですが、そのようなことはありません。飲食店におけるHACCP衛生管理は厚生労働省ウェブサイトにある手引書※を参考に実施することができます。実施することは次の３つです。
ステップ１：衛生管理計画を作成する
衛生管理計画は、日頃から行っていることを整理し、手引書の記載例と照らし合わせながら、「一般的衛生管理のポイント」と「重要管理のポイント」に分けて書き出します。
●「一般的衛生管理のポイント」は、
従来から行っている一般的衛生管理について、「なぜ必要なのか」を理解し「いつ」、「どのように」実施し「問題があったときはどうするか」の対応を予め決めておきます。
●「重要管理のポイント」は、
お店のメニューのうち、冷やしたり加熱したりの温度管理が必要なものについて、「冷蔵品を冷たいまま提供するもの」、「冷蔵品を熱し熱いまま提供するもの（加熱後、高温保管を含む）」「加熱後冷却し再加熱、または加熱後冷却するもの」の３つのグループに分類し、管理するためのチェック方法を決めておきます。
ステップ２：衛生管理計画に基づき実施する
衛生管理計画を作成後、計画に基づいて日々の衛生管理を着実に実施しましょう。
ステップ３：実施の確認と記録を残す
日々の衛生管理が計画通りに実施できたかどうか確認し、記録を残しましょう。
手引書の記録様式は、計画通りに出来たら「良」出来なかったら「否」いずれかに「○」を記入するだけの簡単な様式になっています。もし、計画通りに実施出来ないことがあったら、実施できなかった事項と対応内容を備考欄に必ず書きましょう。
記録は、着実に実施することで食中毒発生の未然防止に役立ち、衛生管理を適切に行っていることを確認でき、その証拠書類にもなります。また、記録を定期的に振り返って確認することにより、業務の改善点が見えてきたりします。
もし記録がなかったら、クレームや食中毒が発生したときに衛生管理を適切に行っていたことを証明する証拠がありません。これからは飲食店においても記録を残すことが必要な時代になってきました。面倒でも記録を残す習慣を身につけましょう。
※事業者がＨＡＣＣＰに沿った衛生管理に取り組む際の負担軽減を図るため、食品等事業者団体が作成し、食品衛生管理に関する技術検討会で内容を確認した手引書を掲載しています。
食品の話フグ毒について2021-01-30
冬の味覚で知られる「フグ」ですが、毎年フグによる食中毒が発生しています。フグ毒は、塩もみ、水にさらす、加熱などの調理では無毒化されることはありません。また、効果的な治療法や解毒剤は無く、他の食中毒に比べ致死率も高いため、フグを食するには正しい知識が必要です。
フグ毒の正体
フグ毒の原因物質はテトロドトキシンという非タンパク質性の毒素で、フグの肝臓や卵巣などの内臓に含まれ、フグの種類によっては皮、筋肉、精巣にも含まれます。その強さは青酸カリの500〜1000倍ともいわれ、人に対する致死量は1〜2mgと推定されています。また、フグの肝臓は種類を問わず、その販売や提供は食品衛生法で禁止されています。
フグの毒性
フグ毒は、フグの種類、臓器、季節、生息地域等により大きく差があります。同じフグでも個体差があるため、前回食べて大丈夫だったとしても今回も大丈夫とは限りません。
中毒症状
第１段階：食後20分から3時間までに、口唇部及び舌端に軽い痺れが現れ、指先に痺れが起こり、歩行がおぼつかなくなる。頭痛や腹痛を伴うことがある。
第２段階：不完全運動麻痺が起こり、嘔吐後まもなく運動不能になり、知覚麻痺、言語障害も顕著になる呼吸困難を感じるようになり、血圧降下が起こる。
第３段階：全身の完全麻痺が現れ、骨格筋は弛緩し、発声はできるが言葉にならない。血圧が著しく低下し、呼吸困難となる。
第４段階：意識は死の直前まで明確である。意識消失後まもなく呼吸が停止する。呼吸停止後心臓はしばらく拍動を続けるが、やがて停止し死亡する。
対処法
フグ毒に対する効果的な治療法、解毒剤はありません。しかし、人体内ではフグ毒の排出が早いので、8時間ほど生命を維持できれば、回復に向かい後遺症はないとされています。万一フグ中毒に罹った時には、直ちに医療機関に連絡し、人工呼吸により呼吸を確保し、適切な救急治療が必要です。
フグを食用にするには、専門的な知識が必要です。釣ったフグを資格免許のない人が料理するのは極めて危険です。釣ったフグは持ち帰らない、人に譲らない、食べないということを心掛けましょう。
※フグは「ふぐ処理師」の免許を持った人しか処理できません！
食品の話米トレーサビリティ制度について2020-12-30
米トレーサビリティ制度とは、「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」によって定められている
�（董κ堂湛�品の取引に関する記録の作成・保存
�∧董κ堂湛�品の産地情報の伝達
に関する制度です。
この法律が制定された背景には、平成20年に発覚した米の不正転売事件がありました。すなわち、水に浸かった米やカビが生えた米、残留基準を超える農薬を含む米など、本来食用及び食品原料として使用してはならない米が食用・食品原材料用として転売・転用されていた事件を契機にして、米・米加工品で問題が発生した場合に流通ルートを速やかに特定して消費者の健康を確保するために制定されました。
１．制度の対象者及び対象となる米・米加工品
対象者：米穀等の販売、輸入、加工、製造又は提供の事業を行う者飲食店等も含む
対象品：米穀（籾、玄米・精米・破米）の他、米粉・米粉調整品などの中間原材料、米飯類※及びもち・だんご・米菓・清酒・単式蒸留焼酎・みりんなどの米加工品
※米飯類は、各種弁当、各種おにぎり、ライスバーガー、赤飯、おこわ、米飯を調理したもの、包装米飯、発芽玄米、乾燥米飯などを含む。
２．記録の作成と保存
米・米加工品を事業者間で搬入、搬出、廃棄あるいは亡失した場合には、
「品名」、「産地」、「数量」、「年月日」、「取引先名」、「搬出入の場所」
等を記録しなければなりません。ただし、取引伝票において上記の事項が記載されていれば記録とみなされます。（伝票に記載がない項目は伝票に追加記載する）なお、保存期間は原則３年、弁当などその場で消費される米飯類は取引等を行った日から３ヶ月です。
３．産地情報の伝達
事業者間での産地情報の伝達は、伝票、納品書、規格書等の記載により提供します。
また、飲食店など外食店における一般消費者への伝達は、米飯類のみについての産地情報の伝達を行う必要があり、
・店内に産地情報を掲示（店内配付チラシ、店の出入口看板等）
・メニューに産地情報を記載
・お客の求めに応じて店員が産地情報を伝達する（店内等に「産地情報については店員にお問い合わせください」等の掲示が必要）などの方法により行うことができます。
食品の話ご存知ですか？ヒラメの食中毒2020-11-30
生食用生鮮ヒラメ（ヒラメのお刺身等）を食べた後、数時間程度で一過性の嘔吐や下痢などの症状を起こし、軽症で終わる食中毒があります。この食中毒はクドア・セプテンプンクタータ（以下、『クドア』と表記）という寄生虫が原因で発症します。
『クドア』の特徴
寄生している魚：ヒラメ等
大きさ：100分の1ミリメートルの大きさで極嚢(きょくのう)と呼ばれる袋状の細胞が６、７個集まって花びら状の形をしています。
特徴：粘液胞子虫類という魚類の寄生虫で魚の筋肉内には寄生しますが、ヒトには寄生しません。ヒトの腸粘膜を一過性に傷つけて下痢や嘔吐等の症状を引き起こします。
『クドア』による食中毒の予防と対策
クドアは、-20℃で4時間以上の冷凍、または、中心温度75℃5分以上の加熱により病原性が失われることが確認されています。一方でヒラメは生で食べることが好まれますが、冷凍すると品質が低下することから、冷凍以外の食中毒予防方法について研究が行われています。また、農林水産省及び水産庁では、ヒラメの養殖場での適切な管理により、クドアがヒラメに寄生することを防止する取り組みを行っており、食中毒件数は平成26年をピークに減少傾向となっていますが、令和元年でも188名の患者が発生しています。
『クドア』の基準値及び検査方法
食品衛生法でクドアの基準値が設けられており、「筋肉1gあたり胞子数が1.0×106個（100万個）を超えないこと」となっております。また、検査方法は平成28年4月27日付け生食監発0427第3号「Kudoa septempunctataの検査法について」により通知されており、顕微鏡検査法及び遺伝子検査法などがあります。
（公財）北九州生活科学センターでは、上記通知法に対応した検査を行っています。
ご依頼、ご相談などお気軽にご連絡ください。
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微生物の話ノロウイルス食中毒の予防2020-10-30
食中毒は気温が高い時期だけではなく冬場にも発生します。特にノロウイルスによる食中毒は冬季にかけて多くの人が発症します。ノロウイルスは少量でも発症するとともに、感染力が非常に強いため発症者だけではなく、感染していても症状がない人(不顕性感染者)を介して食品や調理器具・設備(給水栓、冷蔵庫取っ手など)を汚染して、多数の食中毒患者や二次感染者を出してしまうことになります。
ノロウイルスと言えば、カキなど二枚貝が原因食品としてあげられますが、二枚貝を原因食品とする食中毒は件数で全体の30％程度です。厚生労働省の資料によると、
ノロウイルス食中毒の原因は、全体の6割がノロウイルスに感染した調理従事者による食品への二次汚染で、そのうちの6割は発症していない不顕性感染者となっています。そのため、
１．発症者や不顕性感染者の早期発見
２．感染者に対する適切な措置 (感染を拡げない措置)
を徹底することが、ノロウイルス食中毒予防のための重要な対策になります。
１. 発症者や不顕性感染者の早期発見
感染者を早期に発見するためには、日頃から従業員やその家族の健康チェック(下痢、嘔吐、発熱)を行うこと、また検便では通常の病原菌だけでなくノロウイルスについても検査することが重要です。厚生労働省から出されている「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、検便検査は「10月から3月にはノロウイルスの検査を含めることが望ましい」となっています。
２. 感染者に対する適切な措置(感染を拡げない措置)
検便でノロウイルスに感染していることが確認された場合は、医療機関を受診し、ノロウイルスが検出されなくなるまで食品を取扱う作業をしない、場合によっては、仕事を休むなどの対策が必要になります。感染していることが疑われる場合も受診して感染が確認されたら同様の措置が必要です。このように適切に措置しなければ、感染者を介して汚染した食品などによる食中毒や二次感染がますます拡がってしまいます。
当センターでは、ノロウイルス検便料金をできるだけ安価に設定しています。一度に多くの検体を依頼される場合は、さらにお安い割引料金での検査を行えます。
お電話いただければ、ＦＡＸで資料、依頼書・採便管・検体送付キットをお送りしますので
宅急便(クール便／着払い)でご送付ください。
