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微生物の話カンピロバクターってどんな菌?2017-04-10

食中毒は一年を通して発生しているのですが、気温が低く空気が乾燥する冬はノロウイルスなどのウイルスによる食中毒、気温が上がり湿度が高くなってくる5月から9月にかけては細菌が原因となる食中毒に注意が必要となってきます。

そこで今回は、細菌性食中毒の中で発生件数が最も多いカンピロバクターについて紹介します。

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どのくらい発生してるの?

近年の食中毒の原因として、最も多いものはノロウイルスです。次に多いものとしてはカンピロバクターとなっています。カンピロバクターは細菌性食中毒の中で発生件数が最も多く、年間300件前後で推移しています。平成28年に発生した細菌性食中毒の患者数としては、実に4割以上を占めていました。

どんな菌なの?

長さ0.5-5μm、幅0.2-0.5μmの細いらせん(S字)状にわん曲した菌で、一端または両端に一本の鞭毛をもち、コルク栓抜き様運動をするのが特徴です。

乾燥や熱に弱く、25℃以下では発育できません。

大気中で発育できず、酸素濃度3〜15%の微好気環境で発育します。

どこにいるの?

家禽、家畜、ペット、野生動物などの腸管内に広く分布しています。

カンピロバクター属は17菌種に分類されていますが、このうちカンピロバクター・ジェジュニとカンピロバクター・コリが原因菌の多くを占めています。

感染するとどうなるの?

症状としては腹痛、激しい下痢、発熱、、嘔吐、筋肉痛、倦怠感などです。また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症することもあります。

潜伏期間が1〜7日間と長いため、原因食品が判明しないことも多いです。

どうやって感染するの?

生または加熱不足の食肉、内臓およびその加工品を食べることで感染した例があります。平成27年に国内で発生したカンピロバクター食中毒のうち、原因食品が鶏肉として疑われるもの(鶏レバーやささみなどの刺身、鶏肉のタタキ、鶏わさなどの半生製品など)が92件認められています。

 生肉に触れた手やまな板などから、野菜やほかの食品に二次汚染して感染した事例も見られます。

また、未殺菌の井戸水や野生動物などに汚染された環境水を飲むことで感染したという報告もあります。

数百個程度と少ない菌量でも感染してしまうことが知られています。

どうやって予防するの?

健康な家禽であっても腸管内にカンピロバクターなどの食中毒菌を保有している場合があるため、現在の食鳥処理技術ではこれらの食中毒菌を100%除去することは困難です。

カンピロバクター食中毒の予防方法として、

1.十分に加熱して食べましょう!!

(中心部を75℃以上で1分間以上加熱しましょう。)

二次汚染防止のために、

2.食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理・保存しましょう。

3.食肉を取り扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱いましょう。

4.食肉に触れた調理器具等は使用後洗浄・殺菌を行いましょう。

 

 食中毒の3原則(政府広報オンラインより)

「つけない」 十分に洗浄・消毒を行う)

「増やさない」 (低温で保存する)

「やっつける」 (加熱調理を十分に行う)

 

以上のことを参考にしていただき、食中毒を防いで食品を安全に食べていただければと思います。

 

《参考資料》

・食中毒予防必携 第3版

・新訂 食水系感染症と細菌性食中毒

 

カンピロバクター食中毒予防について(Q&A) 

厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html

 

政府広報オンライン

http://www.gov-online.go.jp/

環境の話『BOD』って知ってますか?2017-03-24

 

公共用水域(川や海)に排水を流すときの基準となるものに排水基準というものがあります。pHや濁度、浮遊物質量(SS)などの項目があり、その中の一つに『BOD』というものがあります。

BOD』とは、『Biochemical Oxygen Demand(生物化学的酸素要求量)』の略で、水中の微生物が増殖や増加をするときや有機物を酸化分解する際に消費する酸素の量を表したものです。

 

 仮に、魚が住める水質を【BOD 5mg/L以下】とすると、使用済みの天ぷら油(20mL)を流したとき、魚が住める水質になるにはお風呂場のバスタブ(300L)の水が20杯分必要となってしまいます。

AA

  下表に、排水として流すものとそのときに必要なバスタブの水の一覧を載せています。

 

 

流すもの

流す量

必要なバスタブ(300L)の水

天ぷら油

使用済み(20mL)

20

マヨネーズ

大さじ1杯(15mL)

13

牛乳

コップ1杯(200mL)

11

ビール

コップ1杯(180mL)

10

味噌汁

お椀1杯(180mL)

4.7

米のとき汁

1回目の水(500mL)

3.3

シャンプー

1回分(4.5mL

0.67

台所用洗剤

1回分(4.5mL

0.67

 

 

 

AA

 当センターでは、家庭や工場から出る排水の検査や環境水(海水や河川水、地下水等の検査も行っております。

 ご不明な点はお問い合わせください。




異物の話食品中の異物事例82017-02-03





Q:お弁当を食べていたら、硬いものを噛みました。石ですよね?




A:検体は白色の固形物であり、たしかに石のようなものですが・・・

検体の一部をとり、塩酸を滴下すると・・・

 

 

気泡を発生してほとんど溶解しました。

検体の蛍光X線分析においても、検出されたのはカルシウムのみ。

すなわち検体の主成分は炭酸カルシウムと推測されました。

炭酸カルシウムは貝殻などの主成分で食品添加物としても利用されるものです。

検体の外観は貝殻様なので、貝殻が水産物を経由して混入したのかもしれません。






水の話ご家庭の井戸水の水質検査について2017-01-21

井戸水は自然の恵みによるものですが、ご家庭で飲まれるときに「大丈夫かな?」と感じたことはありませんか?

 当センターでは、使用されている井戸水が飲料水に適しているかどうかの検査をおこなっています。その内容について簡単にご紹介いたします。

 

一般細菌

 

大腸菌

 

硝酸態窒素 及び

亜硝酸態窒素

 

通常、どこにでも存在する雑菌を指しますが、基準値を超えると、何らかの汚染の可能性が考えられます。

 

基準値 100 /mL以下

 

 

 

検出されると、し尿、下水、排水などによる汚染が考えられます。

 

基準値 

検出されないこと

 

 

 

自然界の循環で広く存在しますが、高いと生活排水や肥料などの地下浸透による汚染が考えられます。

 

基準値 10 mg/L以下

 

 

亜硝酸態窒素

 

鉄 及びその化合物

 

塩化物イオン

 

窒素が分解される過程で生成されます。硝酸態窒素と同じく、高いと生活排水や肥料などの地下浸透による汚染が考えられます。

 

基準値 0.04 mg/L以下

 

 

 

地質の影響もありますが、高いと赤水になり、不快な味や臭気をつけることもあります。

 

 

基準値 0.3 mg/L以下

 

 

 

自然水には常に含まれます。多量に含まれる場合や急に増加した場合は、海水の侵入や下水などの汚染も考えられます。

 

基準値 200 mg/L以下

 

 

硬度(カルシウム・マグネシウム等)

 

有機物等(全有機体炭素(TOC)の量)

 

pH

 

硬水、軟水の目安になります。地質の影響もありますが、高いと石けんの洗浄効果が低下します。

 

基準値 300 mg/L以下

 

 

 

汚染の指標となります。高いと汚水などの有機物質を多く含む水の混入の可能性が考えられます。

 

基準値 3 mg/L以下

 

 

 

水の酸性、アルカリ性を表します。深井戸などの地下水は低い(酸性)傾向にあります。

 

基準値 5.88.6

 

 

味 / 臭気

 

色 度

 

濁 度

 

味覚や臭覚には個人差がありますが、基本的に異常のある水は飲料水には適しません。

 

 

基準値 異常でないこと

 

 

 

清浄な水は無色透明ですが、鉄分やマンガンの多い地域では、地質の影響で着色する場合もあります。

 

 

基準値 5度以下

 

 

 

清浄な水は無色透明ですが、地質により濁りを認められることもあります。また、汚水や土砂などの混入により水が濁る場合もあります。

 

基準値 2度以下

 

 

 

基準値は、厚生労働省が定める水道法(第四条第二項)に基づく水質基準によるものです。初めて検査を行う井戸水については水道法の水質基準51項目を検査することが望ましいのですが、定期的な検査の場合は「福岡県飲用井戸等衛生対策実施要領」に基づく13項目の検査を受け付けています。

 

自然界の水質は、お住まいの地域によって異なり、また周囲の環境や季節によっても変化します。安心のためにも、定期的な水質検査をおすすめします。









地域活動の話平成28年度(4月〜11月)に行った研修会等のご紹介2016-12-09


 

○感染症対策研修会

(2016年7月2日・9日)(本所)

 

北九州市が北九州感染制御ティーム(KRICT)協力のもと、北九州市内の医療関連施設に従事する方を対象とした「感染症対策研修会」を当センターの会議室にて開催致しました。

○「見えない敵と戦う!バクテリアレンジャー養成講座」

(2016年8月3日・5日)(福岡事業所・研修所)

 

福岡市南区保健福祉センター衛生課の方々と共同で、小学5年生から中学2年生までの男女15名を対象に、食中毒の原因となる細菌などを学ぶ講座を開催しました。この講座は福岡市が高温多湿の8月に、食中毒予防のために行いました。

○海外研修生受け入れ

(2016年10月20日)(本所)

 

当センターでは、公益財団法人北九州国際技術協力協会からの依頼で、毎年外国からの研修生のための食品衛生に関する講座を受け入れております。今年度は、12ヶ国(中国、エジプト、インド、インドネシア、イラン、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、パプアニューギニア、ペルー、タジキスタン、タイ)から13名の研修生の方が、当センターで検査実習を交えた研修を受講されました。


○修学旅行生受け入れ

(2016年11月17日)(本所)

 

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けている東京都立多摩科学技術高等学校の2年生約70名が、修学旅行最終日に当センターを訪問されました。高校生の皆さんは、菌叢解析講演と実際の検査や検査機器の見学と説明を熱心に傾聴されていました。その意識の高さにとても感心しました。