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微生物の話黄色ブドウ球菌ってどんな菌?2015-03-25

暖かい季節になり、お花見や遠足などでお弁当を持って出掛けることも増えてくるのではないでしょうか?そこで今回は、手作りの食べ物と係わりが深く、身近な存在でもある黄色ブドウ球菌について説明します。
どんな菌なの?
ブドウ球菌とは自然界に広く存在している細菌の一種で、属名をStaphylococcusとい言います。Staphyloはブドウの房を意味するのですが、これは顕微鏡で見たときに細胞がブドウの房状に並んでいることによりこの名前が付けられました。
ブドウ球菌の仲間は30数種類もいるのですが、なかでもコアグラーゼというヒトやウサギなどの血漿を凝固する酵素を産生する黄色ブドウ球菌という種類が問題となります。黄色ブドウ球菌以外の食中毒菌はほとんど報告されていません。また、すべての黄色ブドウ球菌が食中毒を引き起こすわけではなく、エンテロトキシンと呼ばれる毒素を産生する限られたものが食中毒の原因菌となります。
黄色ブドウ球菌の1個の大きさは直径1000分の1ミリ位です。30〜37℃が至適温度ですが、10〜45℃でも増殖でき、他の細菌に比べると酸性やアルカリ性が強いところでも発育できます。また食塩に対する抵抗性が強く、16〜18%の食塩濃度でも増殖できます。
黄色ブドウ球菌は80℃・30分間の煮沸で死滅します。しかし、黄色ブドウ球菌が産生したエンテロトキシンは100℃・30分間の煮沸でも無毒化できませんし、120℃・20分間の加熱でも完全に破壊されません。つまり、加熱調理前にすでに黄色ブドウ球菌が増殖してエンテロトキシンを産生している場合、通常の加熱調理で菌自体は死滅しても、エンテロトキシンは破壊されずに食中毒の原因となるのです。

どうやって感染するの?

食品取扱者の手指による場合が多く、特に化膿した傷口のある手指で直接食品を触ったり、料理を盛り付けたりすると、その食品は黄色ブドウ球菌に汚染されます。その後、食されるまでの間に菌が増え、エンテロトキシンを産生し、その食品を食べてしまった場合に発症します。また、黄色ブドウ球菌は鼻孔やのどの粘膜に比較的高い確率で保菌されているので、くしゃみをして菌が飛び散り、二次的に食品が汚染されることもあります。
黄色ブドウ球菌を100個位含む食品を食べても食中毒は起こりません。しかし、食品1グラム中に数十万個以上存在すると、増殖する際に放出されたエンテロトキシンにより食中毒が起こります。
症状は?
エンテロトキシンを含む食品を食べてしまうと、1〜5時間(平均3時間)後に症状が現れます。多数の患者に激しい嘔吐がみられ、下痢・腹痛なども引き起こします。38℃以上の高熱になることは少なく、各症状は数時間程度続きますが、ほとんどが24時間以内に回復します。
予防するには?
黄色ブドウ球菌は自然界に広く存在しており、健康な人でも3割〜5割の人が保菌者であると言われています。よって、食品への汚染を完全に排除することはほぼ不可能です。しかし、少量の黄色ブドウ球菌を含む食品を食べたとしても発症しませんので、すでに付いてしまった菌を増やさない、また十分な熱処理で殺菌する、食品の取り扱い場所の衛生管理に注意することなどが重要となります。
食中毒予防の3原則(政府広報オンラインより)
「つけない」
 ・手指に傷のある人や手の荒れている人は直接調理に
  係わらない。
 ・十分に洗浄・消毒を行う。

「増やさない」
 ・低温で保存する。

「やっつける」
 ・加熱調理を十分に行う。

また、調理後はできる限り早めに食べ、食品を室温で長時間(2時間以上)放置しないようにして下さい。
以上のことにより、防止できます。

とても身近な菌ではありますが、基本的な事に注意すれば予防することは難しくはないと思います。これらの事を参考にしていただいて春の行楽を楽しんでいただければ、と思います。

微生物の話ノロウイルス対策講習会を開催いたしました。2014-12-17

先日、嘉麻市嘉穂庁舎にて、学校給食関係の職員を対象にした、ノロウイルス対策講習会を開催いたしました。

ノロウイルスに関する情報・対策等に関する講習会を行っています。当日は学校給食関係の職員約20名の方が参加されました。

正しい手洗いが実施されているか、蛍光塗料を汚れに見立て、残留を目で確認できる簡易検査キットにて手洗いの評価・検討を行っている場面です。

実際にノロウイルスによる嘔吐を想定した作業を実習しました。

おかゆを疑似吐物に見立て、1メートル前後の高さからの嘔吐を想定していますが、予想以上に吐物が拡散する様子が確認出来ます。

吐物の処理に必要な道具・消耗品等は、使い捨てができ、効率的かつ廉価なものを用意しておくと便利です。上の道具は全て100円ショップ等で購入出来ます。

様々な吐物処理方法が出ていますが、とにかくノロウイルスの拡散を防ぐために、迅速かつ適切な消毒が大変重要になってきます。嘔吐の状況等で処理方法も変わってきますが、各施設等で最も効果的な処理方法を出来るように、日頃から心がけることが大切です。

 

詳細は、当センターまでお問合せください。

地域活動の話福岡県立八幡高等学校と共催で講演会を行いました2014-12-12

東日本大震災から39ヶ月となる20141211日(木)に、福岡県立八幡高等学校のスーパーサイエンスハイスクール事業として、福島県農業総合センター 生産環境部 環境・作物栄養科長である佐藤睦人氏をお招きし、「福島の食と安全を守る研究〜震災そして復興への道〜」という演題で講演していただきました。

1,2年生635人、保護者、県内関係者が出席し、原発事故直後から現在にまでに尽力された研究について聴講しました。佐藤講師からは「福島だけでなく世界レベルの問題に貢献できる科学者を目指してほしい」というメッセージを呼びかけました。また生徒からは「北九州の報道では得られない情報や佐藤講師の研究内容を聞くことができ、有意義な講演となった」と感想をいただきました。

 
 当センターでも東日本大震災後から放射能測定業務を開始いたしました。少しでも被災地に貢献できる業務はもちろん、正しいデーターを提供することで生活の安全と公衆衛生の向上に寄与していきたいと考えます。

 

毎日新聞(H27.1.20掲載)


西日本新聞(
H26.12.23掲載)

福岡県立八幡高等学校 http://yahata.fku.ed.jp/html/

福島県農業総合センター http://www4.pref.fukushima.jp/nougyou-centre/

 

地域活動の話福岡県立八幡高等学校への技術支援協力2014-11-21

 福岡県立八幡高等学校のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の研究開発課題に係る取り組みとして、科学部の生徒に技術支援を行いました。

日 時:平成26911日(木)

場 所:当センター 食品検査室

参加者:八幡高校 科学部(第1学年及び2学年生徒)3

引率教員:1名(科学部顧問)

今回は各種の合成着色料および天然着色料が含まれた食品(漬物)を用いて、実習を行いました。初めて使う器具や機器もあり、生徒達は緊張ぎみでしたが、薄層クロマトグラフィーで見る結果に驚いていました。

実際に食している物を化学的に検証する難しさと楽しさを学んでもらえたと思います。

今後の課題研究に生かせればと思います。

地域活動の話水辺教室を開催しました2014-10-06

 今年も、小学生を対象とした水辺教室を、(公財)北九州市環境整備協会との共催で、北九州市内の小学校にて9月25日に開催いたしました。
  当日は小学4年生と5年生の約30名で、小学校の近くを流れる紫川の、上流域と中流域の2か所に分かれて、川の水質の指標となる水生昆虫を中心とした生物を採集しました。
  子供たちは皆熱心に採集を行いました。
 
  採集した生物は、理科室に持ち帰り、上流側と中流側でそれぞれどのような生き物がいたかを調べました。
  得られた結果から、川の水質を判定しました。
 この場所では、比較的きれいな水質であるという結果がでました。子供たちは、自分たちの住む地域を流れる川の水質がきれいであることを知り喜ぶとともに、今後もずっとこの環境を保てるように、大切にしていきたいという意識が芽生えたようでした。