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食品の話アニサキスについて2025-03-31
「アニサキス」って１種類？
アニサキスはサバ、タラ、イカ、イワシ等に寄生しており、アニサキスに汚染されている食品を生食することによって腹部に激痛を伴う食中毒を引き起こすことは広く知られています。しかし、「アニサキス」に種類があることは意外と知られていません。日本近海のサバに寄生し、アニサキス症を引き起こすアニサキスは主に2種類存在します。実は太平洋側と九州・日本海側ではサバに寄生する主なアニサキスの種類が異なるのです。太平洋側のサバに主に寄生しているのがアニサキス・シンプレックス (Anisakis simplex sensu stricto以下As)、そして九州・日本海側のサバに主に寄生するのがアニサキス・ピグレフィー(Anisakis pegreffii以下Ap)です。
AsとApの違いは？
AsとApの大きな違いは「内臓から筋肉部への移行率」です。太平洋側のサバに多いAsは約１０匹に１匹が内臓から筋肉中に移動するのに対して、九州・日本海側に多いApは約１０００匹に１匹の割合でしか筋肉に移動しないと言われています。つまりApはAsに比べ筋肉への移行率が極端に少ないのです。九州地方でサバを生食する文化が根付いたのもアニサキスを誤食する確率が太平洋側に比べ低いからと考えられています。
九州・日本海側のサバは安全？
では九州・日本海側のサバなら本当に安全なのでしょうか。実は近年の調査結果で日本海側のサバにも高い確率(アニサキス陽性サバの筋肉99.3％、内臓79.4％がAs：アニサキス汚染実態調査およびリスク低減策の評価に関する研究 令和元年〜3年)でAsが寄生していることが報告されました。環境変化の影響も大きな要因かもしれませんが、海はつながっており、基本は「いる」と考えることが重要です。
アニサキス症を引き起こさないために最も重要なのは提供する側の知識と技術なのです。
アニサキスによる食中毒の予防方法
・新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除く
・魚の内臓を提供しない
・目視で確認、アニサキスを除去
・冷凍処理(-20℃以下で24時間以上)
・加熱処理(70℃以上、または60℃の場合は１分以上)
食品の話賞味期限・消費期限2025-01-31
ほとんどすべての加工食品と一部の生鮮食品は原則として期限表示が必要です。期限表示の基本的な考え方は「食品期限表示のためのガイドライン（厚生労働省・農林水産省）」に「個々の食品の特性に十分配慮した上で、微生物試験、理化学試験、官能検査などを実施し、科学的・合理的根拠をもって適正に設定すること」と記載されています。
賞味期限
品質の劣化が進みにくい食品が対象です。
消費期限
品質の劣化が進みやすい食品が対象です。
◎食品の劣化や保存性を高めるには
細菌は「温度」「水分」「栄養分」の３条件が生育に最適な状況になると増殖します。したがって「温度」や「水分」を管理することで細菌の増殖を抑えることが出来ます。食品によっては保存料を使用することで、カビ・酵母、細菌などの増殖を抑え、腐敗や変色、味の変化を防ぐことが出来ます。低温での流通や販売も品質保持に有効です。またせんべいやクッキーなどは乾燥剤の使用が有効です。乾燥剤は湿気により劣化してしまう食品に使用することで、パリパリ・サクサクとした食感を維持することも出来ます。
食品の劣化は細菌によるものだけではありません。「光」や「酸素」も品質の低下を引き起こします。 油脂は光により酸化が進行します。天然色素も光に対して不安定なものが多く、光に当たると変色する場合があります。これらは遮光性の高い包材を使用することである程度抑制することが出来ます。また脱酸素剤は酸化を防ぎ、ビタミンや油脂の変質、風味の変化や変色を抑えます。さらにカビや細菌の増殖を抑制させる役割があり、食品の美味しさや鮮度を保つことが出来ます。
◎期限評価のための具体的な項目
微生物試験：生菌数、大腸菌群、黄色ブドウ球菌、カビ・酵母、耐熱性芽胞菌、乳酸菌、食中毒原因菌
理化学試験：水分活性、pH、酸価(AV)、過酸化物価(POV)、揮発性塩基窒素(VBN)など
官能試験 ：色、味覚、硬さ、におい など
消費期限や賞味期限は最初に「保存期間」や「保管温度」などを設定し、上記の項目を食材の特性に応じて組合せ、検査を行ってください。
食品の話ヒスタミン食中毒について2024-09-30
ヒスタミン食中毒は、鮮度の低下などによりヒスタミンが高濃度に蓄積された魚類、その加工品、などを摂取することにより発生するアレルギー様食中毒です。
ヒスタミンはヒスタミン生成菌の酵素によって、食品中のヒスチジン（必須アミノ酸の一つ）から生成される化学物質で、常温ではその生成が増加します。
また、一度生成されたヒスタミンは加熱調理しても分解されません。このため、食材、調理した食品の適切な温度管理を行い、ヒスタミンの生成を抑えることが大切です。
ヒスタミン食中毒の原因食品
マグロ、カツオ、サバ、イワシ、アジ、ブリなどの赤身の魚、及びそれらの加工品
＊海外では水産物以外のワイン、チーズなどの発酵食品が原因食品となった事例もあります。
ヒスタミン食中毒の症状
通常、食後数分〜60分位で症状が現れ、6〜10時間で回復します。重症化することは少なく、死亡例も報告されていません。
発症した場合には、抗ヒスタミン剤が効果的です。症状としては、顔面紅潮（特に口まわりや耳たぶ）、頭痛、じんましん、発熱などがあげられ、アレルギー反応に似た症状を呈します。
ヒスタミン食中毒を予防するには
ヒスタミンは原料魚の貯蔵中やその加工、調理中、最終製品の貯蔵・流通中の温度管理不良によりヒスタミン生成菌が増殖することで生成・蓄積されるため、ヒスタミン生成菌の増殖を抑制する対応が必要となります。
日本国内では、保育所や小学校などの大量調理場での大規模なヒスタミン食中毒発生が多く報告されていますが、大量調理場や食品加工場に限らず、飲食店や各ご家庭で赤身の魚を調理される際は以下の4点を心掛けて下さい。
�ゝ�を保存する場合は、速やかに冷蔵、冷凍し、常温での放置時間を最小限とすること。
��一度蓄積されたヒスタミンは加熱しても分解されないため、鮮度が低下した恐れのある魚は使用しないこと。
�２鯏爐垢觝櫃肋鏖垢任覆�冷蔵状態で行い、速やかに調理喫食すること。
�た阿篝綫茲忙彪磴魎兇犬燭蘓�べずに処分すること。
国内基準
現在日本国内ではヒスタミン濃度の基準は設定されていませんが、福岡市では指導基準を50ppm（50mg/kg）と定めています。
またFAO/WHOの合同専門家会議による報告書では、ヒスタミンの無毒性量を50mgとしており、1回あたりの魚の喫食量を 250gとした場合、１回の食事で健康被害を起こさないと考えられる食品中のヒスタミン濃度は200mg/kg と算出しています。しかし、この値は健康な大人の場合であり、日本国内のヒスタミン食中毒患者の過半数が0〜14歳であることを踏まえると、あくまで目安としての濃度となります。
食品の話ＨＡＣＣＰ管理「振り返り」できていますか？2024-05-31
「ＨＡＣＣＰの考え方を取り入れた衛生管理」が完全義務化され、４年目を迎えようとしています。
ＨＡＣＣＰに取り組まれている事業者の中には、日々の点検記録において管理基準から逸脱することもないため、記録自体が形骸化してしまっているという話も出てきています。そこで、今回は「小規模な一般飲食店事業者向け」の手引書から「振り返り」についてお話します。
衛生管理の記録は定期的に確認を行っていますか？
顧客からのクレームや衛生上気付いたことなど、同じような問題が発生している場合は、同一の原因があると考えられます。
同一の問題が起こる場合は【４. 改善】を行い【１. 計画】を練り直して【２. 実行】してみましょう。
ＨＡＣＣＰは下記の図のようなＰＤＣＡサイクルを回しながら、少しずつ衛生状態の底上げを図り、より良い衛生環境を整え、安全な食品を提供するための手段です。
これから暑い季節がやってきます。例えば冷蔵庫や冷凍庫の開閉回数が増えると、庫内の温度が管理基準を超えることがあります。このような場合には温度調節を低めに設定するなどの改善をしましょう。また記録を見直す際、「否」となった事項については「特記事項」でどのように対応していたか、その対応内容を検証して適切に対処できていたか、再発防止対策は適切なのかを確認しましょう。
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食品の話輸入食品の安全性と検査2023-09-29
日本の令和4年度食料自給率はカロリーベースで約40％と低く、食料の安定確保のためには輸入食品に頼らざるを得ない状況です。しかし2008年1月、中国産冷凍食品への農薬混入事案が発生し、輸入食品の安全性は大きく揺らぎました。皆さんも店頭で輸入食品と国産品が並んでいると、値段が高くても国産品に手が伸びてしまうのではないでしょうか。とはいえ、日常生活の中で輸入食品を避けて通ることはかなり困難です。
では輸入食品の安全対策はどのようになっているのでしょうか？
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日本の規制にあった生産・製造・加工等の管理、輸出国政府による衛生証明書の発行（食肉、食肉製品、フグ等）、輸出前検査等
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輸入の都度、厚生労働大臣への届出（義務）
↓
検疫所による届出内容の確認（食品衛生法規格基準等に適合するものであるか）
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検査での確認
●命令検査：法違反の可能性が高い食品等について、輸入の都度実施を命じる検査
→検査結果判明まで輸入不可
●モニタリング検査：必要に応じて輸入時検査を強化する等の対策を講じることを目的として、国が年計画に基づいて実施する検査
→検査結果の判明を待たずに輸入可能
●指導検査等：農薬や添加物等の使用状況や違反情報を参考に、輸入者の自主的な衛生管理の一環として、国が初回輸入時や定期的な実施を指導する検査等
→検査結果判明まで輸入不可
＊野菜、食肉については、植物検疫、動物検疫なども受ける必要があります。
食品衛生法違反と判断された場合は輸出国への積戻しや廃棄等の措置が取られます。
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都道府県等で流通食品等の収去（抜き取り）検査
このように輸入食品の安全は3つの対策で確保されています。
安全の確保された食品ですので、私たち消費者も購入したものは適切な条件で管理し、食品ロスの無いように消費していきましょう。
