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食品の話自然毒：麻痺性貝毒って？？2013-10-29

皆さんが食べる二枚貝。例えば、アサリ、ハマグリ、カキ・・・などについてお話します。
　2013年3月下旬から4月下旬にかけて、大阪湾産の二枚貝から麻痺性貝毒が検出されました。また9月には、宮城県気仙沼湾産の活ホタテから規制値を超える毒量が検出されています。この麻痺性貝毒による中毒は、1977年に三重県(アサリ)、1979年に山口県(マガキ)、1997年には長崎県(カキ)で発生し、多くの患者が出ましたが、自治体などによるモニタリングが実施されるようになってからは、市販品による麻痺性貝毒中毒はおきていません。
　また麻痺性貝毒は広い海域に分布するため、世界中で中毒事件が発生しています。
 
今回は、当センターが検査を行っている貝毒のうち、麻痺性貝毒について紹介します。
�）竅秬�貝毒とは？
 
　貝毒とは、主に二枚貝(カキ、アサリなど)が毒素を持った植物プランクトンを餌として食べ、体内に毒を蓄積させる現象のことをいいます。その貝毒は症状により、麻痺性貝毒、下痢性貝毒などに分けられます。
　これらの貝毒はそれぞれ原因となるプランクトンが異なりますが、麻痺性貝毒は赤潮を形成する有毒渦鞭毛藻類(貝毒原因プランクトン)などを貝が食べることにより、徐々に毒を体内に蓄積し毒化していきます。これらを餌としている魚介類は、毒化の可能性があります。
　麻痺性貝毒の代表的な毒成分は、サキシトキシンです。フグ毒（テトロドトキシン）に匹敵する毒性を持ち、神経系などを強力に麻痺させます。
��中毒症状
 
　麻痺性貝毒による中毒症状はフグ毒とよく似ており、食後30分程度で軽度の麻痺が始まり、次第に全身に広がり、最終的には呼吸麻痺により死亡することがあります。
  もし麻痺性貝毒で中毒を起こしても、人工呼吸により呼吸を確保し、適切な処置が施されれば延命できるようです。
 
・・・致死量の例・・・
ヒトの致死量は、サキシトキシン換算で1~2mgと推定されています。
例えば・・・
1gあたり4マウスユニット(注1)の貝毒を持つアサリを食べるとしましょう。
体重60kgのヒトの致死量は約3,000〜20,000MUなので、約750〜5,000gのアサリを食べると致死量になります。  
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　毒化した貝類の見極めは外見からはできず、一般的な調理加熱で毒素は分解されません。
　日本産貝類による食中毒防止のため、自治体が定期的に有毒プランクトンの出現を監視し、貝毒の毒性試験も実施しています。また、輸入品の二枚貝については、国によるモニタリング検査や、命令検査によって毒性試験が行われています。そこで毒性試験の結果が、規制値(可食部1gあたり4マウスユニット(注１))を超えたものは出荷規制や輸入禁止措置がとられます。
　なお貝毒はもともと貝の体内にないため、貝毒原因プランクトンが海域からなくなると毒の蓄積は止まり、その後は次第に体内から減少し、毒がなくなれば再び貝を食べることができます。
 
 
 
 
 
 
 
 
＜注１＞マウスユニット(MU)ってなに？
 
毒量の単位としてMUを用います。
麻痺性貝毒の場合、体重20gのマウスを15分間で死亡させる毒量を1マウスユニット(MU)と定義しています。
規制値は可食部1gあたり4マウスユニットです。
 
参考として・・・
 マウスユニットの定義は毒素によって異なってきます。
例えば、同じ貝毒の下痢性貝毒は、体重20gのマウスを24時間で死亡させる毒量を1マウスユニット(MU)、フグ毒なら体重20gのマウスを30分で死亡させる毒量が1マウスユニット(MU)と定義されています。
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　日本での麻痺性貝毒の検査・定量は、マウスを用いた毒性試験が公定法となっています。0.1mol/L塩酸で加熱抽出した試験液をマウスの腹腔内投与し、マウスの致死時間から、マウスユニットに換算して毒量を求めます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
（公財）北九州生活科学センターは、公益財団法人として様々な試験検査を通じて地域の皆様の安全・安心な社会づくりに貢献してまいります。
 
参照；厚生労働省、農林水産省ホームページなど 
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