公益財団法人　北九州生活科学センター

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食品の話飲食店のアレルギー物質表示について
食品の話HACCP（ハサップ）について
食品の話脂肪酸とは何でしょう？
食品の話自然毒：下痢性貝毒って？
食品の話食品表示法について

食品の話飲食店のアレルギー物質表示について2018-05-22

現在、加工食品のアレルギー物質表示については、特定原材料である7品目の表示の義務化が定められ、特定原材料に準ずる20品目の表示が推奨されています。しかし、外食で提供される飲食物については、アレルギー物質に関する表示義務はありません。その理由として以下のことがあげられます。

・外食産業は、全国的に展開するチェーン店から専門店、家族経営による店舗にいたるまで規模が多様であり、すべてのお店が正確なアレルギー物質表示を行うことはむずかしい。

・メニューや原材料の仕入れ先が変更される場合が多い。

・同一の厨房において複数の料理を同時並行的に調理することが多い。

・様々なメニューを手早く調理する必要があり、調理器具からのアレルギー物質の意図せぬ混入防止対策を十分に

とることが難しい。

しかし、ライフスタイルの変化に伴って、もはや外食は日常的な飲食スタイルとなっており、食物アレルギーがある人やその家族にとって、アレルゲン情報の提供を求めるニーズは、外食産業に対してますます高まっていると考えられます。

具体的な表示方法

【店頭ポップ】

　アレルギー情報提供している場合も管理をしていない場合もお客様にわかりやすく表示（レジ横や壁、レシート等）してください。

【店内メニュー】

文字は見やすく、メニュー名や価格の近くに表記して目につきやすく工夫してください。アレルギー食材の意図せぬ混入（コンタミネーション）の注意喚起表示は、メニューごとではなく、メニュー一覧の最終ページや各ページの最下段等に表示することも可能です。

【別メニューまたは一覧表】

　メニュー別にアレルギー情報提供食材の使用の有無を一覧表にして用意しておき、申し出のある消費者に対して情報の提供を行います。一覧表は個々のメニューが小さな文字で羅列されることがなく、消費者にとってわかりやすい表示となるよう心がけてください。

メニュー名	えび	かに	小麦	そば	卵	乳	落花生
かにしゃぶ		●	●
エビフライ	●		●		●	●

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食品の話HACCP（ハサップ）について2017-09-11

HACCPとは

Ｈazard Ａnalysis and Ｃritical Ｃontrol Ｐoint

HACCPとは、食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の危害をあらかじめ分析（Hazard Analysis）し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという重要管理点（Critical Control Point）を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生管理の手法です。

この手法は国連の国連食糧農業機関（FAO）と世界保健機関（WHO）の合同機関である食品規格（コーデックス）委員会から発表され，各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。（厚生労働省HACCPページより抜粋）

従来の衛生管理とHACCPによる衛生管理のちがい従来の衛生管理は施設の清掃や従業員の健康管理などの一般衛生管理により食品を製造し、その安全性は、最終製品の検査で確認していました。HACCPによる衛生管理は、一般衛生管理を基本としつつ、それぞれの施設や取り扱う食品の特性などに応じて、食中毒菌の残存、ガラスや金属などの異物の混入といった食品衛生上の問題が特に起きやすい工程・作業を重点的に管理し、その結果を記録していくという方法により安全な食品が提供できるシステムです。	HACCP導入のための7原則12手順
HACCPと一般衛生管理 HACCPは優れた衛生管理手法ですが、HACCP単独の取り組みでは、食中毒等の危害要因を完全になくすことはできません。一般衛生管理（施設設備、器具の清掃洗浄・保守点検、食品の衛生的取扱い、使用水の衛生管理、従事者の衛生など）をしっかりと行っていないと、毛髪などの異物が混入したり、加熱殺菌をした後に食品が二次汚染されたりして、食中毒が起きるなどのリスクが発生してしまいます。	HACCP型衛生管理導入支援当センターでは食品衛生管理グレードアップ事業の一環として、国が進める衛生管理手法であるHACCPに対応できるようHACCP専門員の育成を図り、HACCP型衛生管理導入支援を始めました。 HACCPの義務化に向け、HACCPの導入、導入後の検証等のお手伝いをいたしますのでご相談ください。

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食品の話脂肪酸とは何でしょう？2016-09-28

「DHA・EPAが豊富な魚は体にいい」「アメリカでトランス脂肪酸の使用規制」などといった情報をニュース等で見たことや聞いたことのあるかたも多いと思います。実はこれらのDHA・EPA・トランス脂肪酸は脂肪酸の一種なのです。

では、脂肪酸とは何でしょう。

今回は脂肪酸についてお話したいと思います。

①脂肪酸とは？

私たちの体に必要な三大栄養素として「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」があります。脂質と聞くと「体に悪い」「太る」などマイナスのイメージを持つ方が多いと思われますが、脂質は私たちの体を作り、健康を維持するための様々な役割を担っています。

私たちが摂取する脂質の主成分はトリアシルグリセロールであり、このトリアシルグリセロールはグリセリンと3つの脂肪酸で作られています。脂肪酸は炭素（C）と水素（H）とカルボキシル基（－COOH）で構成されています。炭素の数や、炭素同士のつながり方の違いによって、種類や性質が決まります。

②脂肪酸の種類

脂肪酸は構造によって2種類に分類することが出来ます。

１、飽和脂肪酸

２、不飽和脂肪酸

　これらは前述したように、炭素同士のつながり方で分類しています。

「二重結合」というつながり方の有無で飽和脂肪酸（二重結合なし）、不飽和脂肪酸（二重結合あり）となります。

さらに、不飽和脂肪酸は二重結合の数によって、さらに2種類に分類されます。

１、一価不飽和脂肪酸（二重結合が１つある）

２、多価不飽和脂肪酸（二重結合が２つ以上ある）

また、多価不飽和脂肪酸は、二重結合の位置によって以下のようにも分けられます。

１、n-3系（オメガ3）脂肪酸

２、n-6系（オメガ6）脂肪酸

脂肪酸の末端（カルボキシル基から最も離れた位置）から数えて、二重結合の位置が3番目にあるものがn-3系脂肪酸、6番目にあるものがn-6系脂肪酸です。このn-3・n-6系脂肪酸は、必須脂肪酸といわれており、私たちが生きていくうえでは欠かせない重要な脂肪酸です。必須脂肪酸は体内では合成できないため、欠乏すると皮膚炎などを発症することが分かっています。

③食品に含まれる主な脂肪酸の例

食品で例をあげると、飽和脂肪酸は乳製品やココナッツオイルに多く含まれています。多価不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸は魚に多く含まれており、n-6系脂肪酸はごま油に多く含まれています。

このように、脂肪酸は食品に含まれる種類が異なります。

食品中に含まれる主な脂肪酸の例

名称	主に含まれている食品の例
酢酸	酢
酪酸	バター、チーズなど
パルミチン酸	肉、パーム油など
ステアリン酸	肉、ココアバターなど
オレイン酸	オリーブオイル
リノール酸	大豆油、コーン油、ベニ花油など
α-リノレン酸	シソ油、エゴマ油、キャノーラ油、大豆油など
γ-リノレン酸	月見草油など特殊な植物油
アラキドン酸	肉、卵、魚、肝油など
エイコサペンタエン酸（EPA）	青魚、魚油など
ドコサヘキサエン酸（DHA）	青魚、魚油など

参考：農林水産省　脂肪酸

　　　消費者庁　脂質と脂肪酸のはなし

私たちの健康維持・増進のために、食事から摂取している脂肪酸を知ることにより、健康的な食生活をおくることに活かせます。

当センターでは、食品表示等に必要な脂肪酸の検査も実施しております。

お気軽にお問い合わせ下さい。

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食品の話自然毒：下痢性貝毒って？2015-05-25

　下痢性貝毒は1976年に宮城県で初めて確認された貝毒です。日本では1980年代前半まで中毒事件が多数発生しましたが、自治体などによるモニタリングが実施されるようになってからは、市販品による中毒はおきていません。

　今回は、以前紹介した麻痺性貝毒に続き、当センターが検査を行っているもう1種類の貝毒「下痢性貝毒」について紹介します。

①下痢性貝毒とは？

　麻痺性貝毒と同様に、主に二枚貝(カキ、アサリなど)が毒素を持った植物プランクトンを餌として食べ、体内に毒を蓄積させる現象のことをいいます。その貝毒は症状により、麻痺性貝毒・下痢性貝毒などに分けられます。

　これらの貝毒はそれぞれ原因となるプランクトンが異なりますが、下痢性貝毒は赤潮を形成する有毒渦鞭毛藻類(貝毒原因プランクトン)などを貝が食べることにより、徐々に毒を体内に蓄積し毒化していきます。これらを餌としている魚介類は、毒化の可能性があります。

　下痢性貝毒の代表的な毒成分は、オカダ酸とその同族体のジノフィシストキシン群です。

②中毒対策
　

　麻痺性貝毒と同様に、外見から毒化した貝類の見極めはできず、一般的な調理加熱で毒素は分解されません。

　また、中毒対策も麻痺性貝毒と同様の方法がとられています。異なる点は、毒性試験の規制値です。
　これまでは毒性試験の結果が、規制値(可食部1gあたり0.05マウスユニット(注1))を超えたものに対し、出荷規制や輸入禁止措置がとられていました。
　新たに平成27年3月6日付で、厚生労働省より、従来のマウスを用いる検査から、機器による分析法が通知され、規制値もオカダ酸(OA)群に対して可食部1㎏あたり0.16㎎OA当量/㎏となりました。
　※下痢性貝毒の場合、体重16～20gのマウスを24時間で死亡させる毒量を1マウスユニットと定義しています。
　(※注1のマウスユニットについては麻痺性貝毒のページをご参照下さい。)

③中毒症状

　

　下痢性貝毒による中毒症状は、消化器系の障害で、激しい下痢、吐き気、嘔吐などをおこしますが、致命的ではありません。症状は食後30分から4時間以内の短時間で起こります。後遺症もなく、死亡例もありません。

④検査方法

　機器分析法では、試料をメタノールで抽出し、加水分解した後、得られた液の精製を行います。これを試験液とし、LC-MS/MSで測定、定量を行います。
　当センターでは、いち早く機器分析に取り組み、4月1日からマウス試験法に代わり、機器分析法による検査を行っています。

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食品の話食品表示法について2013-12-16

食品の表示は法律の目的を異にする「食品衛生法」「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律（ＪＡＳ法）」「健康増進法」等の３つの法律によって規定されており、重複あるいは用語が不統一の状態で管理・運用がなされています。

このように食品表示制度が複数の法律に分かれて規定されていた為、消費者にとって用語の不統一など、分かりにくいものとなっており、また、事業者の遵守コストの増加をもたらしている事などから、３つの法律の食品表示に関する一元化を図る目的で平成２５年度６月２８日に「食品表示法」が制定されました。

食品表示法について

食品表示法は「食品衛生法、健康増進法及び農林物資の規格化等に関する法律による措置と相まって、国民の健康の保護及び増進並びに食品の生産及び流通の円滑化並びに消費者の需要に即した食品の生産の振興に寄与することを目的とする。」とあり、後述の３法と消費者基本法を踏まえた食品表示の統合と包括的かつ一元的な制度として制定されました。

食品表示に関しては同法第４条・第５条および府令「食品表示基準」として「名称・原産地（生鮮食品）・原材料名・アレルゲン・遺伝子組み換え表示・添加物・内容量・消費期限若しくは賞味期限・保存方法・原産国（輸入品）・原料原産地・事業者の名称及び所在地・栄養成分及び熱量並びにその表示方法・表示に用いる文字の大きさ」等が規定されています。

食品衛生法における食品表示について

食品衛生法は「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。」とあり、食品表示は食品安全性の確保の為に公衆衛生に関する情報が規定されています。

具体的には、同法第１９条および府令として「名称・消費期限若しくは賞味期限・製造所所在地、製造者等名・添加物・アレルギーに関する情報・保存方法」等が規定されています。

ＪＡＳ法における食品表示について

ＪＡＳ法は「農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることによって一般消費者の選択に資し、もつて農林物資の生産及び流通の円滑化、消費者の需要に即した農業生産等の振興並びに消費者の利益の保護に寄与することを目的とする。」とあり、食品表示は消費者の選択を資するための品質に関する情報が規定されています。

具体的には、同法第１９条および「加工食品品質表示基準」により「名称・原材料名・内容量・消費期限若しくは賞味期限・保存方法・原産国（輸入品）・原料原産地・製造業者等の名称及び住所・表示に用いる文字の大きさ」等が規定されています。